Mと世代の話

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M-1からかなりお笑い熱冷めやらぬ、という感じで、年明けずっといろんな芸人が自身のチャンネルにアップしているネタ動画を漁っている。

真空ジェシカは唯一本家ネタをxvideosにアップすんのをやめろ。1

嘘、吉住2みたいなセンシティブネタはそこでもいいので、賞レースネタとかは無断転載と戦うために拠点を構えておくっていうのはご時世的に必要な気がしている。

わざわざ公式infoが転載に苦言を呈するのであれば、これは人力舎側の努力不足の可能性がある。(〇〇側の努力不足、というのはたびたび川北さんが誰かに認知されていない誰かを指してイジる系の内輪ネタであるのでこの使い方は多分サムいです)つまり人力舎サイドでネタ用公式チャンネル作ってもいいんじゃな〜い?って思うけどタレントと事務所がどういう合意のもとでYouTubeやってるのか知らんのでこの話は終わりです。

ところで今年のM-1ってめっちゃアツくなかったですか?

というのも、もちろん令和ロマンによる史上初二連覇がかかってるのもそうだし、自分にとって単純に好きな芸人が多かったのと、なによりファイナリストに残る芸人の多くが、そして多分制作側がおそらく自分と同世代になっているんだなというのを感じたからだと思う。

M-1ってなんか毎年既存の邦楽曲からテーマソングを選んでる流れがあるんですが、今年はアジカンのリライト。私たち世代(少なくとも今の20後半〜30代)にとってはかなり”ハガレンのOP”であろう。

毎年梅田サイファーがラップを書き下ろすようになったKOC、Creepy Nutsに委ねたR-1はもちろん、邦楽ロックに明るければTHE SECONDにおけるイエモンと毎年のM-1の選曲はただニチャつくだけの要素で済んでいた。

ただ今年のM-1でのリライトはちょっとハガレンすぎて、最初入ってこなかった。あまりにも”世代”すぎて普段と違う心のざわつきがあった。ラジ父※3で真空ジェシカも似たようなこと(世代すぎて普通にM-1のテーマとしては入ってこない的な趣旨)を言っており「禿同」って言った。

この曲が選ばれた時点で、我々の世代がいろんな責任を負い出すフェーズに入ったんだろうという世代交代感が強まり、なんか気が引き締まるような、お笑いを見るには重たすぎる心構えが生まれてしまった。なお、結果的に普通に楽しんで視聴したので、大丈夫です。

今回のM-1で初めてリライトを聞いて、いい曲だ!テーマに合ってるな!と純粋に思えた若い君たちで例えるなら、NARUTOにおけるシルエットあたりとか?銀魂の桃源郷エイリアンあたりとか?とにかく小さい頃見てたアニメの主題歌でしかないんだ。そんなニッチなところをなぞってくるのはつまり同世代の可能性が高いと感じるんだ。そのうち同じ思いをするのだろう。きっとわかるさ。

ぶっちゃけてしまうと私は完全に令和ロマンのくるま・バッテリィズのエースとは同い年なので、最終決戦はいろいろ熱いものがあった。そもそも真空ジェシカがあのメンツの中だと一番ネタが好きな芸人で今大会も一番笑ったし、令和ロマンもバッテリィズもめちゃくちゃ面白かったのが一番なんだけど…。

なんか94年組っていままでスケートの羽生くんくらいしかあんまスポットライト当たってる印象なかったから、今スポーツまわりだと大谷選手はじめ黄金期とか言われていて、お笑いもそういう波っぽくて。

これは知り合いでもなければなんの功績も別にない私からしても、関係ないけどあるような、不思議な感覚です。

私も私で稀有な人生経験があって、こうやってネットの片隅に自分で居場所を作れるスキルがある。何者かになりたいかどうかという私自身の願いよりも、すでに誰かの何者かではあるんだろう。そうじゃなきゃ、お題箱になにか感想やリクエストを入れてくれる人がいたり、ファンですと言われることはないのだから。(自分の二次創作やコピーバンドという活動軸からしてあまり納得はしてないけど、ありがたい話ではある)

必ずそうと限った話ではないが、ほぼ自分と大差ないコンテンツを見聞きして育ち、各々の環境でやりたいことや大人の期待に応えて同じ年まで育っている事実が、なんだか励まされるような、だから「著名人と同い年」とか「同い年の誰かが活躍する」って嬉しいのか、と思った。

タイトルの通り、M-1を通して世代というものを考えたという話なのでお笑いの話ではなくなってしまった。

じゃあ、ついでにM-1の薄い感想を連ねておきます。

阿部一二三のくじ運が一番怖い。

上戸彩は今年もかわいかった。

令和ロマン、お笑いエリートすぎて怖い。本当に怖かった。ちゃんと面白くて、怖かった。もう「去年と同じ道筋」が確定した時点で追い風だったと思う。

ヤーレンズ、出順の運どうみても悪かったけどめっちゃおもしろかった。楢原さんの奇人おばちゃんキャラって好きすぎるな。今回に関しては、誰が令和ロマンの次に行ってもこの空気だった可能性がある。出井さんが七しょん(今年のフットンダ参照)だったとしても、うどんが食べられなくても、泣いても笑ってもあと2回…

真空ジェシカ、1本目のほどよい風刺にニチャア…となり、最終決戦のともはるさんでちょっと涙出たけど、その後のラジオとアナザーストーリーでひっこんだ。思い入れがあるので多分一番長くなるんですけど、来年は優勝して豪傑となりアナザーストーリーをどうか破壊してほしい。感動とかエモいとか、公式からほら泣きなさいと用意されたものより、通じる人にだけM-1外で絶妙な距離感からサラっと泣かせればいいと思う。それすら逆張りして普通に泣けるアナザーストーリーにしても、あなた方ならどう転んでもおもしろくなるんでしょう。沈黙のチカラ。三傑。いつまでも、ガツンがガッツの入口でありますように。アンジェラのピアノがデカすぎますように。

マユリカ、ネタはコロコロコミックすぎるし、平場の阪本強すぎるだろう。バカ笑ってしまった。塙さんあたり後日YouTubeで言ってた気がするけど、阪本軸のマユリカのしゃべくり漫才確かに見てみたい。

ダイタク、ヒーローインタビューネタの畳み掛け。もちろん面白かったけど、報われなかった実力者という側面にある哀愁が勝っちゃったのかなって気もする。ネクタイのこと、伝家の宝刀の拍手の暖かさ、ステージと客席の間に確かな誠実さがあった。

ジョックロック、当然面白い。今年出会えてよかったコンビNo.1。ちょっとポーズ真似しちゃうよね。バイト辞められてほんとうによかったね…

バッテリィズ、去年の敗者復活で存在がバレすぎなくてよかったなと思った。当然めちゃくちゃ笑ったし主人公の一角だった。今回爆裂に増えたかもしれない「アホは聖人であると思い込む真のアホ」の層には、なんとか勝ってほしい。

ママタルト、せりあがり面白すぎたしネタも変わらず面白くて好きだった。一番決勝行ってくれて嬉しかったコンビ。ラジセク(略せばなんとかなる)が無事に集い、川北もまーごめの席を空けていて、そこに来た。それでいい。マヌカハニーの呪いもあったやろう。銀色がいっぱいあったやろう。私はベテランの漫才師がどう講評しようとも、ひわちゃんのクソデカボイスクソ長ツッコミが好きだ。たまに鋭角からインターネット冷笑ユーモアみたいなのをぶっこまれながらも平穏なネタが好きだ。来年も決勝に行き、一本くらい電話くれよなぁ!と言わせてほしい。

エバース、ガチでえぐいぞ。後半からめちゃくちゃ追い上げて一点差4位はすごいって町田が言ってました。もちろん面白かった。もう町田がチコリータにしか見えない。

トム・ブラウン、めちゃくちゃすぎてゲラゲラ笑えるんだけど、1つの芸の型を完成させた感もある。大会破壊枠wwwwと思っても、もう手の内を知っているからか、一番綺麗に見えたまである。美しかった。美しい、漫才でした…。

真空ジェシカとママタルトへの愛着が文字数にかなり反映されてしまった。ウチは、大喜る人が好きだから…

かといって文字数少ない人たちがダメって話ではないと言わせてほしい。本当に全組面白く素晴らしかったのだから。私がうまく言語化できていないだけです。強いて言えばコロコロ系の下ネタが好きではない人間なので、マユリカのキラーフレーズがそんな刺さらなかったというのはあるけど、彼らは他の要素も面白かったし敗者復活も面白かったことを知ってるのでそれは些細なことである。

今年も敗者復活からすごくて、十九人やフースーヤみたいな元気枠ももちろん、決勝経験者が多くて見応え抜群。個人的にスタミナパン本気で決勝行くと思った。来年はストレートで来そうまで思ってる。男性ブランコのTwitterみてえなフレーズ(タフなミッフィー、タッフィー)も相当耳に残るし、ダンビラの蛾の顔は強烈だった。

Mが終わったらつぎはRか〜!芸人は賞レースで忙しいな…

私はどちらかといえば賞レースの存在に否定的な側の人間だった。お笑いに点数つけるのはナンセンスだから。(それは今もそう思う)そのナンセンスを面白がって挑み、勝ちたいと思って挑み、売れるきっかけになるから利用する人が出るくらいに競技性の要素が大きくなったならもう否定しようがないし、真空ジェシカみたいなラフなスタンスの人が決勝常連でいてくれる限りは楽しく見れるんだろうなと思う。

あれこれ言ったけど素人の感想にすぎない。流してほしい。

来年のテーマがさ、UVERworldの「CORE PRIDE」とかだったらどうしようって思ってます。

おわり